FE 55mm F1.8 ZAレビュー
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SONY ZEISS Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA |
2016年3月現在、Eマウント純正フルサイズ対応FEレンズの中で最も評判が高いレンズといえば、SEL55F18Z - Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA ではないでしょうか。
「標準レンズ」と呼ばれる 50mm 辺が苦手な僕は、あえてこのレンズを避けてきました。35mm 辺を使いやすいと感じる自分にとって 50mm辺は、雰囲気をフレームに入れようとすると少し窮屈で、被写体を切り取ろうとすると少し広い... とにかく難しい画角なのです。
しかし、数か月前までは 35mm より長くて明るいFEレンズはこれ以外の選択肢がなかったので、仕方なく(?)購入。
奮発して買ったのに使わないわけにはいかないから、意地になって持ち出して来た半年間のレビューを簡単に書かせて頂きたいと思います(^ω^
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夕方の日陰ですが、ZEISSらしい高コントラスト。 |
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PROS Vs CONS
PROS
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へそ曲がりの僕にはちょっと褒めすぎでは?と思えるほど評判がいいレンズですが、残念ながら(?)噂に違わぬ優れた写りです。
高い解像感、ピント面のシャープさ、素直なボケ味、優れた逆光耐久性、ZEISSらしい色乗りと高いコントラスト.... 突っ込むところが見当たりません。 -
特に、解像力については感心するばかりです。4200万画素の α7R2 相手に、余裕すら感じられる解像感たっぷりの画をたたき出します。
線が細かく、細部まで鮮明でシャープな描写は目を見張るものがあります。 - 絞りはあくまで被写界深度をコントロールするだけといった感じで、絞り開放から安心して使えます。ボケも素直で距離や背景を特に選ばないので使いやすい。
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AFは自分が使ってみたFEレンズの中では SEL35F14Z - Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA と 1、2位を争うくらい早くて正確です。
ソニーZEISSのフォーカスリングは滑らかで丁度いいトルク感があって、AF レンズとしては MF しやすいほうだと思いますが、このレンズも例に漏れず触ってて気持ちいいです。 -
風景、人物、遠景、近景... どの被写体を・どの絞りで・どこから撮ってもとにかく安定した結果を出してくれるのが一番のメリット。
特に癖もなく素直な描写なので、50mm辺が苦手な僕でも比較的使いやすく感じています。
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冬の薄暗い夕方、1段半分絞って手持ち撮影。等倍で見ると凄い解像感。 |
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CONS
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なんといっても 55mm f/1.8 のレンズとしては割高なのは否めません。
性能を考えるとぼったくりとは思えませんが、言い方を換えれば高いからよく写って当然ともいえるでしょう。 -
僕もそうですが、薄暗い室内で人物を撮るために明るいレンズを求める方も多いと思います。人物の中でも特に予測の利かない子供を撮るとき、最短撮影距離 50cm はなんとも惜しい。あと 5cmでも寄れたら本当に言うこと無しなのになー(そういうシチュエーションで 5cm は、本当に大きいでよね。)
おまけに最大倍率も 0.14倍と低めなので、最短撮影距離から撮っても大きく映すのは難しいです。
- 自分は「アウトフォーカス」部分のボケ味を見るだけで、「玉ボケ」など積極的にボケを作ろうとは思わないタイプなので特に気にしていませんが、口径食と年輪ボケ(玉ねぎボケ)がそれなりに見えますので、ボケに拘る方には少し残念かもしれません。
- メリットにも挙げました「これぞ Sonnar の写り!」と言わんばかりの線が細くて解像感の高いシャープな描写は、「柔らかさ」を表現するには向いてない気がします。
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最短撮影距離近辺、ほぼ真逆光だとさすがに柔らかくなる(笑) |
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項目別満足度評価
当然ですが、「満足度」は僕のごく個人的な感想です。何らかのテストや比較、ベンチマークを行っての評価ではありません。あくまで参考程度にお願いいたします!携帯性:
55mm f/1.8 のレンズとしてはレフ機のそれと比較しても特別コンパクトとは思えませんが、大きい・重たいレンズではないのは確かです。子供との公園お出かけに気軽に持ち出せるギリギリのサイズと重さだと思います。見た目よりは軽いのでそこまで負担にはなりません。
ただ、フードは深いタイプなので、カメラ用の鞄じゃないと付けたまましまうのは無理かも。
機能・デザイン:
前述した通り、AF、フォーカスリングの感触、逆光耐久性、防塵・防滴... 機能面では文句のつけようがありません。自分の持ってるレンズの中では、α7に付けたとき一番よく似合うレンズだと思います。かっこいい!これ大事(笑)
品質(作り):
所有感の満たされ具合は充分満足です。ZEISSを冠するだけはあって、しっかりした作りです。描写:
キレが良くてピント面は極めてシャープ。ZEISSとしてはややさっぱりした発色で線が細かい描写。確かにいいレンズの要素は揃っていますが、自分には「冷たい」感じがします。決して固くはありませんか、どことなく暖かな描写には見えない。
「都会的」・「クール」・「かっこいい」などのコンセプトには丁度いいと思いますが、人物(特に女性)ポートレートにはちょっと微妙かもしれません。
柔らかさは惜しいですが、その代わり Planar より扱いやすいので、最近はまあこれでいいかと(笑)
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総評
娘たちのポートレート用に購入しましたのに、期待とは少し違ってシャープでクールな描写なのが初めはとにかく不満でした。ついに最近、魅力的な 85mm 辺の FE レンズがいくつか発売されましたので、当時の計画であればそろそろこのレンズとはおさらばです。...が、その計画は廃棄です。本当に勿体ない!(笑)
「冷たい」と書くとなんだか否定的なニュアンスですが、そのくらい優等生らしい生真面目さが感じられるレンズです。
どんなシチュエーションでも安定した結果を出してくれるので、日常の瞬間瞬間を切り取るのには都合がいい。
レンズの個性や癖を楽しめる程の腕はありませんが、そんな自分でも「よく写りすぎて、逆に面白くない」という評価がどういう意味かなんとなく分かるような気がする写りです。そういう真面目さがこのレンズの個性かもしれません。面白くない被写体に向けて、はまった時のハッとなる画こそがこのレンズの面白さかも(笑)
その面白さにはまって、最近 50mm が以前よりは親しく感じてきました。(^ω^;;
最後に、誤解を恐れずに書きますと、割高だというのはあくまで貧乏サラリーマンとしての自分の評価であって、カメラオタクとしての自分の評価は性能に比べたら買い得とまで思えるいいレンズだと(汗)
最近、高く・大きくなりつつある FE レンズの中で、いろんな意味で気軽に持ち出せて結果に信頼できる、ある意味貴重な存在の一本ですので、とにかく一回試してみる価値は十分あると思います。
満足できるかどうかはなんとも言えませんが、少なくとも後悔はしないと思いますよ!
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