FE 85mm F1.4 GM レビュー
FE 85mm F1.4 GM |
もはや伝説になったミノルタ時代の 85/F1.4 G(D) Limited、ポートレートの定番中の定番Planar T* 85mm F1.4 ZA...
歴代 α の85mmは、マウントを代表するレンズの一つでした。
そんな「 α の85mm F1.4」の跡継ぎ - しかも、新たに立ち上げたお高いG MASTERシリーズ第一号の単焦点レンズともなれば、 これはもうね、期待しないほうがおかしいですよー。外れるはずがない(・ω・)
ということで、本日は、予約開始日に後先考えずに飛びついた FE 85mm F1.4 GM - SEL85F14GM の1年間の使用感について書かせていただきます。
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ここが気に入った!
収差の感じられないクリアな描写
ポートレートの王道とも言われる85mmレンズは、あえて残した味 - 収差の影響で
開放辺りはふわっとするのがお約束の描写ですが、SEL85F14GM は開放から実にクリアな描写です。
ベンチマークやラボテストならともかく、「リアルワールド」の撮影で何らかの収差に気づかれることは殆ど無いと思います。
ピント面の解像力も凄まじく、α7Rシリーズと使えば、誰もが一度は「瞳にここまで映っているのか!」とか呟きながらにやにや画像拡大すると思う(笑)
しかし、キレッキレとシャープさを主張してくるのではなく、どことなく柔らかさが感じられるなんとも言えない品のある描写です。
どの絞りでも線が細く繊細な画を描き続けますから、レンズレビューによく登場する「絞りは深度調節のみ」という表現は、まさにこのレンズのことだと思います。
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これぞ、αのボケ味!
αといえば、ボケ味を抜きにしては語られませんね。 メーカー側も、ユーザー側も、偏執的なまでボケにこだわる傾向があるといっても過言ではないと思います。
SEL85F14GMは、そんなボケへの拘りが感じられる仕上がりになっています。
謳い文句の「高い解像力と美しいボケ味の両立」は単なるはったりではないよといわんばかりに、
クリアな雰囲気を維持しながら、大変なめらかで綺麗にとろけるボケを見せてくれます。
超がつく非球面レンズがどっさり入っていますが、年輪やエッジが目立つことは殆どありません。
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周辺まで綺麗に写る
F1.4とは思えないほど、開放から歪みや周辺光量低下がほぼ気づかないレベルに抑え込まれています。
最近流行り(?)の「デジタル補正前提」のレンズでは、単焦点レンズでも現像時にレンズプロファイルを適用すると 「別の写真」になってしまうことも珍しくありませんが、 SEL85F14GMはむしろレンズ補正を当てない方が自然に見えたりします。
あくまで素人考えなのですが、口径食の少なさ、77mmと一回り大きい口径などから、実はF1.2でも使える設計ではないかと推測しています。
ナチュラルな雰囲気
発色は、ソニーZEISSのそれに比べては少しさっぱり目。
コントラストの付き方も「劇的」と言うよりは自然な感じです。
撮っていて気持ちいいほどの抜けの良さですが、シャープさ、彩度、コントラスト... それらの全ての要素が、わざとらしさなくナチュラルな雰囲気にまとめられているのこそが、このレンズの凄さであり魅力であると思います。
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扱いやすい
すでに述べましたが、開放1.4でも色収差を含め各種収差は非常に少なく、逆光耐久性もそこそこ高いので、 何も考えずセオリー通り「開放+逆光」がでパシャパシャ撮ればOK!
心地いい絞りリング
はっきりしたクリック感で回転角も大きく、撮る気持ちを高揚させてくれます。
個人的に、ZAのぬるっとしたクリック感よりこっちの方が好き。
バイワイヤー式ですが、滑らかに動くフォーカスリングのトルク、回転角も適切で、MFもしやすい。
ただ、個人的にはラバーより金属製のフォーカスリングにして欲しかった (´・ω・`)
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ここが気になる!
でかい!重い!高い!
よく写るFEレンズはもれなくこの3拍子がそろっているが、その中でもダントツでかくて重いのがこのレンズ。
「ドヤァ!」と言わんばかりの迫力で、並みのズームレンズにも負けない大きさと重さですので、お世辞にも気軽に散歩に持ち出せるとは言えません。
縦グリップをつけないと少しバランス悪く感じるくらい。
また、「撮るぞ!」オーラがプンプン出ちゃうのも、「自然体」狙いのスナップシューターにはマイナスポイントになるかもしれません。
「コストパフォーマンス」なんかで選ぶようなクラスのレンズではないと思いますが、元が取れないと夜眠れないような人なら真っ先に選択肢から外すべき。
ちなみに、機材に対する金銭感覚が麻痺されている私に言わせてもらえるなら、性能に対してはむしろ安いと思います。
遅くてうるさいAF
AFスピードは遅めで、迷った場合の復帰には時間がかかります。動きものを抑えるには運が必要。
まぁ、動きものを撮るために買うレンズではありませんし、スナップやポートレート撮影であればストレスを感じる程ではありません。
とにかく、オールマイティーではないのは確かです。
また、初めてマウントしたときは「これで超音波モーター?」と驚いたほどAF動作音がうるさいです。
1年たった今は、レンズの慣らしが終わったのか、自分の耳が慣れてしまったのか、当初よりは静かになった気がします。
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デザイン
ソニーのレンズデザインが好きで、Eマウント版の85mm Planarを期待していた自分としてはショックなデザイン ( ゚Д゚)
フードを付けるとだいぶましにはなりますが、フードなしだと、なんというか、望遠レンズを横半分に切ったように見えます。
α7/9シリーズのカメラボディが小さいのも相まって、とにかくアンバランス。
ボケに癖が出るときがある
特に金網や柵などに弱く、距離によってうるさくなる場合があります。
まぁ、「網状」は殆どのレンズに厳しいパタンで、このレンズが特別悪いってわけではありませんが(むしろ頑張っている方)
ポテンシャルの高さ故ついつい甘えて、期待値を高めてしまうから余計にきになる (;^ω^)
「究極の球ボケ」が欲しい人なら素直にオールドレンズに走りましょう。
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最後に
正直、「新GMシリーズ発表」というニュースを目にしたとき、「マスターとか、ボクが考えたサイキョーのレンズっぽい」と冷えた目で見ていました。
なんで伝統ある「G」の名前で究めない?とあまりいい印象ではありませんンでしたね。
今もその考えは変わっていませんが、なんで「マスター」なんかつけたかったのかはなんとなく理解できるような気がします。
だってこれだけよく出来上がったなら、誰だって自慢したくなりますもんね(;^ω^)
誤解を恐れず言えば、Aマウントへの未練を断ち切って、「Eマウントでもいいかも」と本気で思い始めたたのは、このレンズを含むGMシリーズを試してみてからです。
私は、このレンズもαの歴史に残ると思います。
俗にいう「そのレンズを使うためにそのマウントを使う価値がある」そんなレンズであると自信もって言えます。
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85mmは使いやすい焦点距離とは言えませんが、「一発勝負」の写真が一番撮りやすい画角でもあると思います。そして、そういう勝負にこのレンズと一緒ならとても心強いです。
価格、重さ、大きさ....誰にでも進められるようなレンズではありませんが、もし少しでもこのレンズのことが気になるようでしたら、
とにかく手に入れてご自分で確かめてみるのを強くお勧め!
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