FE 90mm F2.8 Macro G OSS レビュー
FE 90mm F2.8 MACRO G OSS |
マクロレンズと言えば、花や昆虫、小物などの接写のイメージが強いですが、仮に接写にあまり興味がないとしても、ネイチャーや風景、ブツ撮りなど、一本持っていると色々使えて便利です。
中でも定番的な存在は100mm前後の中望遠マクロ。αの中望遠マクロと言えば、Aマウントのミノルタ時代からの銘玉 100mm F2.8 - SAL100M28 が長らく定番中の定番でしたが、登場から10年(見方によっては20年、いや30年)の年月が経ちましたので、流石に最近は少し力に余る印象を受けます。
そこに「最新技術を惜しみなく注ぎ込みました!」と言わんばかりのスペックで登場したのが、この FE 90mm F2.8 Macro G OSS - SEL90M28G ですね。
元Aマウントユーザーとしてはなんだか切ない気もしますが...まぁ、その話は置いといて。
1年間の使用感を簡単に述べさせていただきたいと思います!
マクロレンズをつけると、なぜかお花が撮りたくなるから不思議です |
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項目別満足度
当然ですが、「満足度」は僕のごく個人的な感想です。何らかのテストや比較、ベンチマークを行っての評価ではありません。あくまで参考程度にお願いいたします!
携帯性:
フード無しで長さ13cm、フード装着時20cm程度と、望遠レンズのような細長いフォルムですので、日常で持ち出すにはそれなりに気合が要ります。
迫力ある見た目に比べれば600gの重量はむしろ軽く感じます。
機能:
フォーカスレンジリミッター、光学式手ぶれ補正、フォーカスホールドボタン、インナーフォーカス方式で全長固定、防塵・防滴など、マクロレンズに求めたい機能は全部入っています。
おまけに(?)フォーカスリングを前後にスライドさせるだけでAF/MFが素早く切り替わる「リングスライドスイッチ」をソニー純正レンズでは唯一採用。機能性と遊び心をともに満たしてくれます。ただ、AF/MFを切り替えでフォーカス位置が連動しない(MFにすると、予め設定しておいた距離に焦点が移動)のは、少し違和感あり。
デザイン:
機能が多い分、メカメカしいデザインで、他の純正Eマウントレンズとは少し雰囲気が異なります。
悪くはないですが、どうせ(?)ここまでやったなら、思いっきりメカニックっぽさあふれるデザインに極めたらもっと面白かったのではと思ったりします。
「何とかシンプルにまとめようと頑張りました」的な感じがして、どことなく中度半端なとこがある。
品質(作り):
Gのバッジに相応しいしっかりした作りです。なんの文句もありません。
描写:
解像感だけでいうなら、自分が使ってみたレンズの中ではベストワンだと思います。
最近の高画素カメラって、一体どこまで写せるのかが気になる方なら、このレンズがベストマッチ - とにかく等倍で確認したくなる情報量溢れる画をたたき出します。
自然なコントラストに色もしっかり乗ってきますし、逆光でも切れ味のあるクリアな画をたたき出してくれるなど、解像力だけでなく全体的に素晴らしい描写性能。
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撮影時は気付かなかったですが、狙ったかのように蚊がメイン被写体になってしまった一枚。
家で確認したとき、本物の蚊がついてると勘違いしてモニターをたたきました (^▽^;)
左の画像は等倍切り出しですが、足の一本一本まできちんと写ってあるのが余計に腹立たしい(涙)
※左の「蚊」の画像をクリックすると、等倍サイズの切り出し(348px)が表示されます。
PROS vs CONS
PROS
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マクロレンズらしく線が細かくて切れ味のある画で。
接写はもちろん、遠景まで目が覚めるほど鮮明で細部まで緻密な描写です。
MTFやベンチマークの結果はともかく、絞り開放から十二分満足できる画質で、二、三段も絞れば(F5.6 ~ F8)周辺までバッチリシャープ。 -
AFスピードは、マクロレンズとしては速い、(普通の)中望遠レンズとしてはやや遅い印象ですが、実用上は特に不満なく使えるレベルです。
走り回る子供をAF-Cで追いかけることも何とかできるはできますが、本気の動体撮影にはちょっときついと思います。
接写時のAFはわりと速いですが、50cm前後(マクロ領域と通常領域の切れ目)は苦手な気がします。 - 手ぶれ補正の効きもよく、接写でも手持ちで何とか頑張れます。(この記事に乗せている写真は、テストショットを除きすべて手持ち撮影です。)
- 歪曲や周辺光量落ちはレンズ補正無しでもほぼ目立ちません。自分の目には色収差もゼロですね。
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リングスライドスイッチは DMF 的な使い方はできませんが、距離指標リングを回して焦点を目測で大雑把に設定できます。
慣れると接写や風景撮影時に意外と便利です。
手持ちで気軽にマクロの世界が楽しめます |
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CONS
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Eマウントレンズのバイワイヤ式MFは、下手な機械式より触り心地がよく、今までは好印象でしたが、「マクロ」故に本レンズだけは不満です。
本気モードの接写時に、1~2mm程度の微細な指の動きにフォーカスが付いてこない = ピントリングの動きとレンズの動きがワンテンポずれる時があって気になります。 -
アウトフォーカス部は滑らかでいい感じのボケ味ですが、非球面レンズがたっぷり入っているため、点光源のボケ(玉ボケ)は綺麗ではありません。
口径食(レモンボケ)も結構でますので、「玉ボケ」に拘る方なら失望するかもしれません。 - 同クラスの他のレンズに比べて特別大きく重いわけではありませんが、携帯性や取り回しがいまいちなのは確かです。
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あくまで好みの問題ですが、自分はあえてこのレンズでポートレートは撮らないと思います。
目で見た感じよりもクリアで緻密な描写は、一般的な(特に女性の)ポートレートには向いてないと思いますので。
なんというか、「グラビア的な描写を求めるのではなく、ナショジオ的なドキュメンタリー雰囲気のポートレートにはいい選択かもしれない」と言うか...(なんの話だ)
レモンボケと玉ねぎボケの説明用イメージみたい(汗) |
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年輪がはっきり見えるなど、玉ボケは綺麗とは言えません |
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もちろん、背景を選ぶなど工夫すればポートレートだって使えないってことはないです |
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総評
カメラオタクである自分のモットーは、「気になったら取りあえず買う。気に入ったら残す。気に入らなかったら売る」です (汗)
しょっちゅうレンズコレクションを更新しているわけですが、この SEL90M28G はそんな厳しい生存競争(?)に生き残りました。
で、いきなり結論になりますが、(ん?)
だからこそ自信持ってお勧めできる!買うかどうしようか悩んでいるあなた!!その選択に間違いはありません。
ぽちっと買っちゃいましょう!!!!(゜∀゜)
....すみません、また調子に乗っちゃいました (;´・ω・)
......念のため補足しますが、自分はソニーや何らかのカメラ屋さんとはなんの繋がりもありませんからね(汗)
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90mmという焦点距離は、変なパスが付かない・ワーキングディスタンスを稼げるなどのメリットがあります...が、日常生活で気軽に使えるかは微妙。
例えば、「席に座ったまま美味しい料理の写真を撮りたい」とか、「部屋で遊んでる子供を撮りたい」とかのシチュエーションだと、 90mmは不便なところが多い。
どちらかと言えば、日常より作品撮りに向いていると思います。
作品と言ったらなんだか大げさのように聞こえますが、趣味って結局自己満足の世界 - 自分が満足できるなら、それはもう立派な作品ではないでしょうか。
このレンズは、そういう「作品」を撮るには本当にいい選択だと思います。
公園の隅っこに咲いてる小さなお花から、遠くの風景まで - 絞って緻密に仕上げるのも、開けて溶かすのも、撮影者の意図次第。
少なくとも、レンズに裏切られたことはそうそうないと思います。
冗談抜きで、Eマウントユーザーなら一回は使ってみるべきいいレンズだと強くお勧めしたいですね
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では、ショボイレビューに最後まで付き合って頂き、有難うございました!
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